相続手続きのキホン③~2.遺言書について~
第3回目は、第1回目の全体の流れのうち「2.遺言書があるかを確認する」をもう少し掘り下げてみたいと思います。
遺言による相続
遺産相続の方法については、原則として被相続人の意思を尊重するという観点から、遺言(ゆいごん)がある場合は遺言が優先され、遺言がない場合に遺産分割協議が採用されることになっています(遺言の内容によっては遺産分割協議をしなければならない場合もあります)。
遺言の方式
遺言はその作成方法について民法で厳格に定められており、その作成要件を満たさない場合は無効となります。いくつかの種類があり、それぞれで必要な手続きが異なりますので、遺言書の存在が確認できたときはその遺言書がどの方式で作成されているかを確認する必要があります。ここでは代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について説明していきます。
自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
自筆証書遺言とは、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、押印しなければならないとされています(「財産目録」についてはワープロ等で作成可)。一人で作成でき、特別費用もかからないため利用はしやすいですが、紛失・偽造・変造の危険性もあります。また、相続開始後、遺言書の保管場所がわからなかったり、作成方法が間違っていたりなどでその遺言書自体が無効となってしまうこともあります。
自筆証書遺言は「検認(けんにん)」が必要です。検認とは家庭裁判所が相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は遺言者の死亡を知った後、遅滞なく自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」
令和2年7月10日に施行されたこの制度は、法務大臣の指定する法務局が自筆証書遺言書の保管をしてくれるようになった制度です。遺言者の相続開始後、相続人、受遺者、遺言執行者等の「関係相続人等」は「遺言書情報証明書」の交付を受けることができます。なお、この制度による保管の場合は自筆証書遺言であっても家庭裁判所の検認は必要ありません。
公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
公正証書遺言とは、証人2人以上の立ち合いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝え、公証人が、これを筆記し、遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名押印する方法により作成される遺言書です。
公正証書遺言は、公証役場で公証人が遺言書を作成するので自筆証書遺言に比べ形式の不備や紛失の怖れがありません。ただし、証人2人が必要で費用もかかります。
当事務所では遺言書の作成支援もしておりますので、ぜひお問い合わせしてみてください。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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