相続手続きのキホン④~3.被相続人の財産について~
第4回目は、第1回目の全体の流れのうち「3.被相続人の財産を確認する」をもう少し掘り下げてみたいと思います。
相続財産の範囲
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を、一身に専属するものを除いて承継します(民法896条)。一身に専属するものとは、一身専属的権利ともいわれ、例えば扶養請求権や生活保護法に基づく保護受給権などその人のみが有しており誰にも譲渡できない権利のことをいいます。
また、祭祀(系譜、祭具、墳墓)については、前条によらず、慣習に従って祖先の際しを主宰すべき者が承継します(民法897条)。
相続財産の範囲を整理すると、次のとおりの分類となります。
性 質 | 具体例 |
---|---|
被相続人の財産ではあるが、承継されず相続の開始で消滅するもの | 一身専属的権利 |
被相続人の財産ではあるが、相続の対象から除外されるもの | 祭祀 |
相続されるが、財産の性質上当然に分割され遺産分割の対象とならないもの | 預貯金債権を除く金銭債権、相続債務など |
相続財産として、遺産分割の対象となる財産 | 不動産、預貯金、株式など |
相続財産ではあるが、受取人が特定されている財産(遺産分割の対象とならないもの) | 受取人が指定されている生命保険金など |
相続財産ではないが、相続人全員の合意により遺産分割の対象とすることができる財産 | 葬儀費用、相続開始後の遺産の果実及び収益など |
範囲の確定
遺言がない場合、被相続人の財産を相続人全員で、具体的に「誰が」「どれだけ」「どのように」取得するかについて協議する手続きのことを遺産分割協議といいます。
上記財産のうち、遺産分割協議の対象となる財産とならない財産があります。
遺産分割協議の対象となる財産
下記財産は基本的には遺産分割の対象となります。ただし、個別に検討すべき事項(対象とならない財産となる場合)がありますので詳細は後日の記事(→相続財産と終活について)としたいと思います。
- 不動産
- 配偶者居住権
- 預貯金
- 現金
- 株式
- 投資信託
- 死亡退職金
- 生命保険金
- 国債
- 社債
- ゴルフ会員権
- 動産
遺産分割の対象とならない財産
下記財産は基本的には遺産分割の対象とはなりません。ただし、こちらも個別に検討すべき事項があります。
- 債権・債務
- 葬儀費用
- 祭祀承継
- 法定果実及び収益
- 遺産管理費
- 使途不明金
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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