相続手続きのキホン⑤~4.遺産分割協議について~

Kuroshoshi

第5回目は、第1回目の全体の流れのうち「4.遺産分割協議をする。」をもう少し掘り下げてみたいと思います。

遺産分割とは

 第1回目でも少し述べましたが、遺産分割とは、相続の開始後、相続人及び遺産の範囲を確定し、共同相続人全員で合意したうえで、遺産の取得について協議し分割方法を確定するとともに、実際に遺産となる物や権利を相続人に帰属承継させる手続きのことをいいます。被相続人が遺言書において遺産分割の方法について定めていた場合には、相続人はその内容に従うことになります。
 今回は、その遺産分割の方法について説明していきたいと思います。

遺産分割の方法(どのように分けるか)~4つの方法~

 誰がどの遺産を取得するのかという遺産の分割方法には、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

現物分割(げんぶつぶんかつ)

 現物分割とは、遺産を現物のまま分割する方法です。例えば「不動産はAが、預金はBが取得する。」「甲土地はAが、乙土地はBが取得する。」のような内容で合意した場合です。この方法が用いられることが多いです。土地を2つに分筆して相続人2人でそれぞれ取得する場合も現物分割とされています。この場合は相続登記の前提として分筆登記を行う必要があります。

代償分割(だいしょうぶんかつ)

 代償分割とは、株式や工場用地等の事業用資産がある場合など、相続人間で細分化することが好ましくない相続財産について、特定の相続人が現物のまま承継し、その代償として他の相続人に金銭(代償金といいます)を支払うという分割方法のことをいいます。不動産の場合は、相続人の取得した価格が遺産全体に対する価格を超えている場合に、その超えた分を代償金で他の相続人に補填します。

代償分割のメリット・デメリット

資産を換価する必要がないため、買い手のつきにくい財産でも分割できるメリットがある一方で、代償財産を取得した相続人にすぐに代償金を支払うことのできる資力がなければできないというデメリットもあります。また、代償金の支払いなどの際に税金の問題が発生する可能性がありますので、税理士などの専門家に相談したうえで慎重に行うべきといえます。

換価分割(かんかぶんかつ)

 換価分割とは、遺産を売却するなどして換価し、その代金を相続人間で分割して分ける方法です。代償分割が遺産を一旦分割取得してから売却するのに対し、換価分割は未分割のまま売却して換価する点が異なります。

換価分割の注意点

換価分割を選択する場合は、対象財産が買い手がつきそうな見込みのある財産であることを見極める必要があります。また、相続税のほかに譲渡所得税、仲介手数料などの費用が発生してしまう場合があるため、相続人全員が納得できるのかということに注意が必要です。

共有分割

 共有分割とは、前記の分割方法で分割できない場合に、具体的相続分に従い相続人の全員または一部の共有とする分割方法のことをいいます。例えば「甲土地を相続人Aと相続人Bが持分2分の1ずつ取得する。」という内容で合意した場合です。

 以上、これらの分割方法については様々なメリット・デメリットがありますので司法書士や税理士などと相談しながら決めていく方法が良いかと思います。何かわからないことがありましたらお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。