養子縁組について③~離縁~

Kuroshoshi

前々回は「普通養子縁組」、前回は「特別養子縁組」についてお話ししましたが、今回は、養子縁組後に養子縁組を解消する手段である「離縁」についてお話します。

離縁(りえん)とは

最近、元妻と離婚したのですが、元妻との結婚の際、元妻の連れ子と養子縁組(普通養子縁組)をしました。実子はいません。正直、元妻の連れ子とは仲があまりよくなく、養子縁組状態を解消できればと思っているのですが、何か方法はあるのでしょうか。

離縁」によって解消することができます。 離縁とは、養子縁組状態を解消する制度のことをいい、法律上親子とされた関係を解消することができます。普通養子縁組と特別養子縁組で離縁の方法が異なります。

普通養子縁組の離縁の方法

 普通養子縁組の解消には、主に「協議離縁」「裁判離縁」」「死後離縁」の3種類があります。

協議離縁の方法

 協議離縁は、養親と養子(養子が15歳未満の場合は離縁後にその法定代理人となる人)が当事者同士で話し合いをして、離縁に合意し、協議離縁届を市区町村役場に提出して離縁する方法です(民811①②、812)。相手方が同意しない場合や、そもそも話し合いができないような場合には、この方法を利用することはできません。

裁判離縁の方法

 裁判離縁は、当事者の合意が調わない場合に、家庭裁判所に離縁裁判(離縁請求の訴え)を提起する方法です(民814)。裁判で離縁が認められるには、少なくとも

  1. 相手方から悪意で生きされた
  2. 相手方の生死が3年以上あきらかでない
  3. その他縁組を継続しがたい重大な事由がある

 の、いずれかの要件を満たす必要があります。

 事例のケースのように、結婚を理由に連れ子と養子縁組したが離婚したといった場合には、一般的には上記③に該当するとして、離縁が認められる可能性が高いといわれています。

 裁判によって離縁が認められた場合には、当該裁判の確定から10日以内に当該判決書の謄本と確定証明書と離縁届を市区町村役場に提出する必要があります。

死後離縁の方法

 養親または養子は、養子縁組の相手方が死亡した際に離縁することができます(民811⑥)。
 しかし、養親と養子との親子関係は、一方が死亡すれば当然に終了します。よって、死後離縁は、生存している当事者が養子縁組によって生じた親族関係を終了させるためのものです。昔のいわゆる「家制度」から解放する手段として設けられたものだといわれています。

 死後離縁は、生存当事者のみができる制度で、家庭裁判所の許可が必要となります。家庭裁判所の許可を得たうえで、戸籍上の届出をすることによって効力が生じます(戸籍38②、72) 

特別養子縁組の離縁の方法

 以下の3つの要件をすべて満たすことにより、特別養子縁組の離縁ができるのですが、家庭裁判所の審判が必要です(民817の10)。実の親(およびその血族)との親族関係を断ってまでしたものなので、協議で離縁することはできないのです。

  1. 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある
  2. 実父母が相当の保護をすることができる場合である
  3. 養子の利益のため特に必要があると認められる

 特別養子の離縁の請求は、養子、実父母または検察官からすることができますが、養親からはすることができません

 

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。