自分が死んだらペットはどうなるかについて
今回は、自分が死んだ場合にペットはどうなってしまうのか、についてお話していきたいと思います。終活にあたり、自分の愛するペットについても考えておいたほうが良い点がいくつかあります。
ペットに相続させることはできるか
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私は一人暮らしで身寄りもおらず、ペットと2人で暮らしています。自分が亡くなった場合に愛する家族であるペットに自分の財産をすべて相続させたいと思っています。
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ペットに財産を相続させることはできません。法律上相続人となることができるのは「人」だけです。残念ながらペットは法律上は「物(もの)」としての扱いとなりますので、ペットには相続権はありません。
ペットの所有権が相続人に引き継がれることになります。
身寄りのない自分が死んだらペットはどうなるか
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愛する家族同然のペットなのに、それはあんまりです。何もしなければ、自分が亡くなったあとペットはどうなってしまうのでしょうか。また、ペットの世話をしてくれる人を誰かに頼んだりする方法はないのでしょうか。
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ペットは物として相続人に引き継がれることになりますが、相続人がおらずペットの引き取り手が見つからない場合、ペットは保健所に引き取られ、最終的に殺処分されることになりかねません。
それを避けるため、自分が亡くなった後にペットの世話をしてくれる人にお願いする方法として、死後事務委任契約、負担付死因贈与契約、負担付遺贈、信託制度の活用などがあります。いずれの方法についても、真に信頼できる人に託す必要があります。
ペットの死後事務委任契約について
信頼できる人との間で、自分の死後のペットの飼育をお願いする契約(死後事務委任契約)を締結することが考えられます。飼育事務の内容をできる限り具体的に定めるとともに、必要な費用を預託し、相応の報酬を支払っておくことが必要です。
ペットの負担付死因贈与契約について
信頼できる人との間で、自分の死んだらその人に対し遺産を譲る代わりに、ペットの飼育をしてもらう贈与契約(負担付死因贈与契約)を締結することが考えられます(民554)。
ペットの負担付遺贈について
信頼できる人に対し、自分の死後、その人に対し遺産を譲る代わりに、ペットの飼育をしてもらう義務を負担してもらう旨の遺贈(遺言による贈与)をしておく方法が考えられます(民1002)。遺言による贈与となりますので、その人の同意は不要ではありますが、遺贈を放棄することもできることから、事前に了承を得ておいたほうがよいでしょう。
ペットの信託について
身近にペットの世話を任せられるような人がいそうにない場合は、ペット信託という方法もあります。信託とは、自分(お願いする人=委託者)が、信託契約や遺言等によって、信頼できる人(お願いされる人=受託者)に対して財産を譲渡し、受託者は委託者の信託目的に従って、例えば自分(その利益を得る人=受益者)のためにその財産の管理・処分をするという制度のことをいいます(信託法2①)。
ペットを実質的な受益者として、委託者である自分と受託者であるペット信託専門業者との間で「自分の死後ペットの世話をお願いする旨の信託契約」を締結しておけば、ペットは自分の財産で、その後も安心して生きていくことができることになります。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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