身寄りのない人が亡くなった場合のお墓の管理について

Kuroshoshi

今回は、身寄りのない人が亡くなった場合、お墓はどうなるかについてお話したいと思います。終活の観点から、今から検討しておいたほうが良さそうなことはいくつかありそうです。

身寄りのない人のお墓はどうなるか

 身寄りのない人のお墓については、下記のいくつかの管理方法があります。

自治体の管理

 身寄りのない人の身元が不明だったり、引き取り手がいない場合には、自治体が遺体を引き取り、火葬し、その遺骨を管理します。遺骨は一定期間(通常5年程度)保管され、その後、無縁墓地に合葬されることが多いです。

無縁墓地とは

 無縁墓地とは、継承者や縁故者がいないお墓のことです。無縁墓地に埋葬された遺骨は、一定期間(通常1年程度)告知され、その間に縁故者が現れない場合、自治体や墓地管理者によって改葬(お墓に納めている遺骨を別の場所に移動させること)されることがあります。
 最終的に合祀墓に移されることが多いです。

永代供養墓で管理

 永代供養墓は、お寺や霊園が管理し、供養を続けてくれるお墓です。身寄りがない場合でも、事前に永代供養墓を選んでおくことで、安心して供養を任せることができます。永代供養墓には以下のような種類があります。

  • 合祀型:他の遺骨と一緒に埋葬される
  • 個別型:一定期間個別に納骨され、その後合祀される
  • 納骨堂型:建物内に遺骨を納める
  • 樹木葬型:樹木を墓標とする

合祀墓で管理

 合祀墓とは、複数の遺骨を一つの区画にまとめて埋葬するお墓のことをいいます。無縁仏となった遺骨は、他の無縁仏と一緒に合祀墓に埋葬されることが一般的です。他の遺骨と混ざり合うため、一度合祀されると、遺骨を個別に取り出すことはできなくなります。

無縁仏とは

 無縁仏とは、供養してくれる親族・縁者がいない故人やその霊魂のことを指します。供養やお墓の管理をしてくれる人がいないのですが、現代社会では特に増加傾向にあるようです。

現在のお墓がある場合どうしたらよいか

 例えば、すでに亡くなっている両親の現在のお墓があって身寄りのない人が管理費等を支払っている場合は、身寄りのない人が亡くなると管理費等の支払いができなくなるため、通常は墓地使用契約の解除が予定されています。そこで、最近はこのような管理費等の不払いに基づく契約の終了等を避けるために「墓じまい」を検討する方が増えています(墓地2③・5)。

墓じまいとは

 墓じまいとは、お墓を撤去し、その場所を更地に戻すことを指します。
 墓じまいの後は、役所から改葬の許可をもらい、遺骨を他の墳墓や納骨堂に移して墓地を返還します。なお、改葬許可には、墓地管理者からの埋葬証明書が必要となるため、現在の墓地管理者とも相談の上進めることになります。

永代供養墓などに移しておく

 現在のお墓については、すでに亡くなっている両親等の遺骨について永代供養墓など墓地管理者により引き続き管理が行われる墓地に改葬することが考えられます。また、自分自身の遺骨が入る墓についても、同様に永代供養墓に入る旨の契約をしておくことも検討しておいたほうがよいでしょう。

身寄りのない人が検討しておいたほうが良いこと

 終活の観点から、もし、身寄りのない方の将来について心配されているのであれば、以下のことを検討してみてはいかがでしょうか。

お住まいの地域の役所に相談してみる

 遺体の引取りや、無縁墓に関する情報をえることができます。

永代供養墓などを生前に契約しておく

 永代供養墓など、生前契約を結んでおくことで、死後のことを具体的に決めておくことができ、安心できます。永代供養墓については、葬儀社などから情報を得ることができます。

遺言を作成しておく

 遺言を作成しておくことで、自分の財産や死後のことを明確に伝えることができます。遺言作成については専門家である弁護士や司法書士に、法律に関する相談をすることができます。

いかがでしたでしょうか。
今から検討しておいたほうがよさそうな点についていくつか挙げましたが、特に遺言作成については、当事務所でもご相談を承っています。わからないことがありましたら専門家である司法書士黒坂事務所まで、お気軽にご相談くださいね。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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