会社の設立について①商号・目的・本店所在地を決める
今回から数回にわたって、会社を設立するにはどうしたらよいかについてお話していきたいと思います。なお「会社」は法人の一種であり、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類あるのですが、今回は株式会社に限って説明させていただきます。
会社設立の基本的な流れ
株式会社を設立するには基本的に以下の手順が必要となります。
- 会社概要の決定
会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、役員構成などを決定します。 - 定款の作成
会社のルールを定めた「定款(ていかん)」を作成します。 - 定款の認証
株式会社の場合、公証人による定款の認証が必要です。 - 資本金の払い込み
金融機関に資本金を払い込みます。これにより会社の運転資金が確保されます。 - 登記申請・完了
必要な書類を準備し、法務局に登記申請を行います。
以下、注意すべき点について説明していきます。
1.会社概要の決定
会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、役員構成などの会社概要を決めるにあたっていくつか注意すべき点があります。
会社名(商号)を決める際の注意点
株式会社の会社名(商号)を決めるにあたっての主な注意点は以下のとおりです。
- 「株式会社」という文字を含むこと
会社名(商号)とは、会社の名称で、株式会社の商号には「株式会社」という文字を含むことを要します(会6①②)。 - 日本文字のほか、ローマ字、アラビア数字のほか、「&」(アンパサンド)、「’」(アポストロフィー)、「,」(コンマ)、「‐」(ハイフン)、「.」(ピリオド)及び「・」(中点)の6種の符号も使用可(商登規50)。
ただし、この6種の符号のうち、ピリオドについては省略を表すものとして商号末尾に使用が可能ですが、それ以外の符号については商号の先頭又は末尾に使用できません。例えば、「株式会社A.B.」「甲・乙株式会社」は可能ですが、「株式会社C&」「’24株式会社」はダメです。 - ローマ字を用いた複数の単語の間を空白(スペース)によって区切ることも可。
- 法令等により使用を禁止されている文字の使用の禁止(「銀行」「信託」「証券」「保険」「事業部」等。ただし「支部」は可。)
- 同一本店所在場所における同一商号の登記の禁止(商登27)。
- 不正の目的をもって他の会社と誤認されるような商号使用の禁止(会8)。
会社の目的(事業内容)を決める際の注意点
会社の目的(事業内容)を決めるにあたっての主な注意点は以下のとおりです。
- 「具体性」を欠いても登記は受理されますが、金融機関から融資を受ける際や所管官庁に許認可の申請をする際などに支障を来すおそれがありますので、できる限り具体的に決めることをお勧めします。
- 会社の目的によっては監督官庁の許認可や免許又は登録等が必要。
会社設立の準備段階において、必ず監督官庁に問い合わせをして許認可等を得るために必要な事項を確認しておくことが必要です。
会社の本店所在地を決める際の注意点
会社の本店とは、会社の主たる営業所のことをいい、いわゆる「会社の住所」です(会4)。民事訴訟事件の訴えや設立登記、合併登記等の登記の管轄を定める基準となります。
定款には「独立の最小行政区画」の記載で足りるとされています。この「独立の最小行政区画」とは「市町村」及び「東京都の特別区」をいい(例えば「茨城県水戸市」「東京都千代田区」等)、政令指定都市の場合は、市を指定すれば足り、区まで指定して記載する必要はありません。
また、都道府県と同一名称の市及び政令指定都市を除いては、都道府県名を記載するのが相当とされています(例えば「新潟県新潟市」は都道府県と同一名称のため「新潟市」、「神奈川県横浜市」は政令指定都市のため「横浜市」でよいです)。
これらのポイントを考慮して、適切な会社名(商号)、目的、本店所在地を決定することが大切です。具体的な内容については、専門家である司法書士黒坂事務所までお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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