会社の設立について④定款を作成する
今回は前回に引き続き、会社を設立するにあたって必要な会社概要を決めたあと、会社の運営に関する基本的なルールである定款の作成についてのお話です。
目 次
会社設立の基本的な流れ
会社を設立するには基本的に以下の手順が必要となります。
- 会社概要の決定
会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、役員構成など(株式、事業年度、公告方法など)を決定します。 - 定款の作成
会社のルールを定めた「定款(ていかん)」を作成します。 - 定款の認証
株式会社の場合、公証人による定款の認証が必要です。 - 資本金の払い込み
金融機関に資本金を払い込みます。これにより会社の運転資金が確保されます。 - 登記申請・完了
必要な書類を準備し、法務局に登記申請を行います。
2.定款の作成
定款を作成する際の注意点
定款の作成に当たって最も重要なことは、なるべく会社法の条文の用語に即して定款を作成する、ということです。公証人によってですが、認証の際に細かくチェックされることもあります。
また、設立登記の申請の際に添付する書類のうち、定款の記載内容により添付が省略できる書類があります。
定款を書面で作成した場合とデータで作成した場合の違いはあるの?
定款は、書面で作成してもデータ(PDFなど)で作成しても構いません。
- 定款が書面 ・・・発起人が署名または記名押印(会26①)
- 定款がデータ・・・発起人が電子署名(会26②後段、会施規225①1号)
定款がデータの場合、4万円の収入印紙を貼らなくて済みますが、電子署名が必要です。司法書士にご依頼いただければ、定款をデータで作成し、司法書士が作成代理人として電子署名をしますので印紙代4万円がお得になります。
定款の記載事項
定款に記載する事項には、以下の3種類があります。
- 絶対的記載事項・・・記載しないと定款自体が無効になる記載マストな事項
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価格またはその最低額
⑤発起人の氏名又は名称および住所
⑥発行可能株式総数 - 相対的記載事項・・・あるなら書かないとその事項が無効となる事項
ex.変態設立事項(現物出資等がある場合)、機関の定め、存続期間の定めなど - 任意的記載事項・・・書いても書かなくてもよい事項
ex.定時株主総会招集の時期、株主総会の議長、取締役や監査役の人数、事業年度、本店の所在場所、支店の所在地や所在場所など
定款作成のポイント
作成にあたっては上記の記載事項を考慮しつつ、金融機関や監督官庁、取引先から、当該会社の基本ルールがわかるような定款を作成するのが良いでしょう。
なお、通常の定款の配列は以下のとおりです。
- 総則
商号、目的、本店の所在地、公告の方法 - 株式に関する事項
発行可能株式総数、株券発行の有無等 - 株主総会に関する事項
株主総会の招集時期、招集権者、招集通知、決議方法等 - 取締役、代表取締役及び取締役会に関する事項
取締役の員数・任期、代表取締役の選任方法、取締役会の設置・招集権者・招集通知・決議方法等 - 監査役に関する事項
監査役の設置、員数、選任方法等 - 計算
事業年度、配当金の支払等 - 附則
設立に際して発行する株式、設立に際して出資される財産の価格又はその最低額及び資本金、最初の事業年度、設立時役員、発起人の氏名、住所及びその引受株式等
定款の記載内容と設立登記申請書の添付書類との関係
定款に記載がある場合に登記申請書の添付書類を省略できるケースがあります。
定款に記載する内容 | 省略できる書類 |
---|---|
「設立に際して発起人が割当を受けるべき株式数及び払い込むべき金額」かつ 「資本金及び資本準備金の額に関する事項」 | 発起人の同意書 |
「設立時取締役、設立時監査役及び本店所在場所」 | 設立時取締役、設立時監査役及び本店所在場所決議書 |
「設立時代表取締役の選定」 | 設立時代表取締役を選定したことを証する書面 |
「設立時取締役、設立時代表取締役及び設立時監査役の就任」の記載があり、かつこれらの者が発起人である場合 | 設立時取締役、設立時代表取締役及び設立時監査役の就任承諾書 |
これらのポイントを考慮して、適切な定款を作成することが大切です。具体的な方法については、専門家である司法書士黒坂事務所までお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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