公正証書遺言について①デジタル化のお話も

黒坂浩司
今回は、公正証書遺言について概要を説明します。また、近年の改正(電子公正証書遺言)についても少し触れてみたいと思います。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、法律の専門家である公証人が、2人以上の証人立ち会いのもと、遺言者の口述に基づいて作成する信頼性の高い遺言書です。公証役場で原本が保管されるため、紛失・偽造のリスクが低く、相続発生後の家庭裁判所による検認が不要で、すぐに相続手続きができるメリットがあります。
公正証書遺言の主なメリット
高い信頼性:公証人が作成するため、形式不備で無効になるリスクが極めて低い。
確実な保管:原本が公証役場に保存され、紛失や隠匿を防ぐ。
検認不要:家庭裁判所での検認手続きが不要で、即座に相続手続きが可能。
紛争予防:遺言時の判断能力が確認されるため、後々の無効訴訟を防ぎやすい。
公正証書遺言を作成するには(書面の場合)
公正証書遺言(書面の場合)を作成するには、主に下記の手続が必要となります。
- ①事前相談
- 公証公証役場または、司法書士などの専門家に相談。
- ②書類準備
- 印鑑登録証明書、住民票、財産目録など公正証書遺言の作成に必要な書類を準備します。
- ③証人の手配
- 利害関係のない証人2人以上が必要です。
- ④作成・署名押印
- 公証役場(または病室など)で、内容を確認し、署名押印します。
公正証書遺言のデジタル化について
今までは、公正証書遺言はいわゆる「紙」で作成され、その原本は公証役場に保管されていました。昨今のデジタル化に伴い公正証書遺言も紙ではなくデータにしてしまおう、というのが公正証書遺言のデジタル化というお話です。
2025年(令和7年)10月1日より、公正証書遺言の作成手続きがデジタル化(電子公正証書遺言)され、オンライン(Web会議システム)を利用して、公証役場へ行かずに自宅から遺言を作成できるようになりました。原本は紙から電子データ(PDF)へと変更され、署名は電子サインに代わります。
主なポイント
- オンライン対応::TeamsなどのWeb会議システムを利用し、対面なしで作成可能となります。
- 電子データ化:遺言書原本が紙からPDFファイルの電子データに変更。
- 厳格な本人確認::eKYC(オンライン本人確認)や電子証明書を利用し、電子署名や電子サインで本人と意思を確認します。
- 書面も可能: デジタル化後も従来の紙の形式で作成・受取を選択可能です。
デジタル化の主なメリット
- 公証役場への訪問が不要になり、遠方や身体的理由で外出が難しい場合も作成しやすくなります。
- 電子データとして保存されるため、紛失や改ざんのリスクが低減されます。
デジタル化の注意点
- 環境の準備:やはりデジタル化というくらいですので、カメラ・マイク付きのパソコンや、電子サイン可能なデバイス(ペンタブレット等)が必須となります。最初の準備が何かと大変で、とっかかりにくいという部分はあるかと思います。
- 対応役場の確認:制度開始当初は全国一斉ではなく、法務大臣が指定した特定の公証役場から順次開始されます。事前に日本公証人連合会などの公式サイトで対応状況を確認することをお勧めします。
- 自筆証書遺言との違い:自分で紙に書く「自筆証書遺言」については、現時点(2025年11月時点)でデジタル作成(パソコン作成のデータのみ等)に法的効力はありません。あくまで「公証人が関与する公正証書」の作成手続きがデジタル化の対象です。
以上、公正証書遺言とそのデジタル化についてお話しました。
ご不明点やご相談などありましたら、お気軽にお問合せください。
投稿者プロフィール

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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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