死後事務手続きについて
自分が亡くなった後の手続きについては気になるところかと思われます。今回は、終活の観点から今からしておいたほうが良いこと(死後事務委任契約)についてお話ししていきたいと思います。
死後事務手続きにはどのようなものがあるか
人が亡くなったあとの事務手続き(「死後事務手続き」といいます。)には、例えば以下のようなものがあります。
- 葬儀・埋葬関連の手続き
葬儀の手配、火葬許可証の取得、埋葬や納骨の手配 - 行政手続き
死亡届の届出、年金の資格喪失手続き、健康保険証の返還 - 金融・税務手続き
確定申告と納税、銀行口座の解約、クレジットカードの解約 - 契約の解除
電気・水道・ガスなどの公共料金の解約、賃貸借契約の解約、インターネットや携帯電話契約の解約 - 遺品整理
家具や家電の処分、貴重品や思い出の品の整理 - その他
ペットの世話、SNSアカウントの削除、関係者への連絡
意外に多くの手続きがありますよね。
これらの手続きについては原則として相続人が行うことになるかと思われますが、身寄りがいない方の場合はどうなるのでしょうか。
身寄りのない方が亡くなった場合の死後事務手続きはどうなるか
身寄りのない方が亡くなった場合、以下のような手続きが行われます。
- 死亡確認と通知
病院や警察が死亡を確認し、自治体に通知します。 - 遺体の保管と親族の捜索
自治体は、遺体を一時的に保管し、個人の親族を捜索します。親族が見つからない場合、遺体は警察や葬儀社の安置室に保管されます。 - 火葬と埋葬
親族が見つからない場合、最終的には自治体が火葬と埋葬を行います(墓地、埋葬等に関する法律9②)。 - 財産の処理
引き取り手がいない財産は、最終的に国庫に帰属します。遺品整理や財産の処分は自治体の業務範囲外となるため、事前に対策を講じておくことが重要です。
身寄りのない方が安心して最期を迎えるためには、事前に死後事務委任契約や財産管理等委任契約を結んでおく方法が考えられます。また、遺言書を作成しておくことで、財産の希望通りの処分が可能となります。
死後事務委任契約とは
身寄りのない方がなくなった後の事務手続きの代行をお願いするには「死後事務委任契約」という方法があります。
死後事務委任契約とは、亡くなった後に発生する上記のような事務手続きを第三者に委任する契約です。
この契約は以下のような方に特に有効です。
- 身寄りがない方
- 家族が遠方に住んでいる方
- 家族に負担をかけたくない方
契約の相手は、信頼できる友人や知人、弁護士、司法書士、社会福祉士などが一般的です。
死後事務委任契約を締結する際の注意点
死後事務委任契約を締結する際の注意点として、いくつかポイントを挙げたいと思います。
- 信頼できる相手を選ぶ
契約を結ぶ相手は、信頼できる友人、知人、または専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)にしましょう。 - サービス内容の確認
どのようなサービスが含まれているか、具体的な内容を確認しましょう。 - 費用の確認
契約にかかる費用や支払方法を事前に確認しましょう。 - 契約内容を理解する
契約書をよく読み、理解しましょう。不明点があれば、必ず質問して解決しておくことが重要です。 - 定期的な見直し
契約内容や状況が変わることもあるため、定期的に契約を見直し、必要に応じて更新しましょう。 - 第三者の意見を聞く
契約を締結する前に、信頼できる第三者(友人、知人、専門家=司法書士など)に相談し、意見を聞くことも有益です。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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