養子縁組について②~特別養子縁組~

Kuroshoshi

前回は2種類の養子縁組のうち「普通養子縁組」についてお話しました。今回はもう一つの養子縁組である「特別養子縁組」についてお話します。普通養子縁組との違いについて比較しながらみていきましょう。

特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)とは

 特別養子縁組とは「親族との親族関係が消滅する養子縁組」のことをいいます(民817の2)。

 普通養子縁組は、実親との親子関係を継続したまま新たな養親と親子関係を生じさせる養子縁組でした。養親との間で法律上の親子関係が成立しますが、実親との親子関係が解消されるわけではありませんので、養子は実親の相続人であり、養親の相続人にもなれました。

 しかし、特別養子縁組の場合は実親との親族関係が消滅します。実親との親子関係を断ち切って養親と新たな親子関係を生じさせるという、児童福祉のための養子縁組の制度となっています。そのため、特別養子縁組で養子になった人は養親の財産を相続することはできますが、実親の財産を相続することはできなくなります(民817の9)。

 養親方との関係としては、普通養子縁組同様養親の嫡出子となり、養親の血族との親族関係が生じます。

特別養子縁組するための要件

特別養子縁組の要件は非常に厳しい

特別養子縁組は要件が非常に厳しいです。
特別養子は、実親(およびその血族)との関係を切ってしまう、非常に重要な効果をもたらす制度だからです。

  • 独身者は養親とはなれず、夫婦共同で養親となる必要(民817の3)。
  • 養親となる者は、原則として25歳以上(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20以上でも可能)(民817の4)。
  • 養子となる者は、原則として15歳未満(民817の5)。
  • 虐待等があった場合を除き、実親(父母)の同意が必要(民817の6)。
  • 子の利益のために特に養子縁組が必要であること(民817の7)。
  • 縁組成立前に養親となる者が養子となる者を6か月以上看護していること(817の8)。

特別養子縁組する方法

 養親となる者が、養親となる者の住所地を管轄する家庭裁判所に特別養子縁組の申立てを行い、当該裁判所の決定により成立します(民817の2)。
 普通養子縁組は届出のみでしたが、特別養子縁組は家庭裁判所の審判が必要となります。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
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