会社の設立について②資本金と役員を決める

Kuroshoshi

今回は前回に引き続き、会社を設立するのに必要な会社概要を決めるにあたって「資本金」と「役員構成」についてのお話です。

会社設立の基本的な流れ

 会社を設立するには基本的に以下の手順が必要となります。

  • 会社概要の決定
    会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金役員構成などを決定します。
  • 定款の作成
    会社のルールを定めた「定款(ていかん)」を作成します。
  • 定款の認証
    株式会社の場合、公証人による定款の認証が必要です。
  • 資本金の払い込み
    金融機関に資本金を払い込みます。これにより会社の運転資金が確保されます。
  • 登記申請・完了
    必要な書類を準備し、法務局に登記申請を行います。

1.会社概要の決定

 会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、役員構成などの会社概要を決めるにあたっていくつか注意すべき点があります。このうち今回は①会社概要「資本金」と「役員構成」を決めるにあたっての注意点です。

資本金を決める際の注意点

 「設立に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額」を設立時の資本金とするのが原則(会445①)とされていますが、その2分の1までの額を資本金に計上せずに、資本準備金とすることも認められています(会445②③)。

 資本金は様々な観点から指標となるもので、主な注意点については以下のとおりです。

  • 信用度の確保
     資本金は会社の信用度に影響します。1円でも可能なのですが、あまりに低い資本金だと金融機関からの融資が難しくなったり、取引先からの信用を得にくくなる可能性があります。
  • 許認可の要件
     特定の業種では、許認可を取得するために最低限の資本金が必要な場合があります。
  • 税金の影響
     資本金の額は、消費税や法人税などの納税義務や計算方法に影響します。例えば、消費税法上、資本金が1,000万円未満の株式会社は、原則として設立1期目と2期目は、消費税の納税義務がない免税事業者となります(ただし、設立1期目は消費税が無条件で免除されますが、1期目の最初の6か月間の課税売上額が1,000万円を超えた場合、又は1期目の最初の6か月間の給与支払額が1,000万円を超えた場合には、2期目は消費税が課税されます)。

役員構成を決める際の注意点

 会社設立にあたり、役員構成を決めることは、会社の意思決定機関を決めるうえで非常に重要な手続きです。主な注意点は以下のとおりです。

  • 会社の機関に応じた役員構成
     株式会社の場合、取締役は必須です。監査役または会計参与を置くことも可能です。取締役会を設置する場合は、3人以上の取締役と監査役が必須となります(ただし、非公開会社かつ非大会社であれば、取締役会設置会社でも、会計参与を置けば監査役を置く必要はありません。詳細については後日改めて記事にしたいと思います)。
  • 役員の役割と責任
    取締役・・・会社の業務執行を決定し、業務執行を行います。会社の経営全般に関する責任を負います。
    代表取締役・・・取締役のうち、会社を代表して契約などを行い、業務に関する一切の権限を有します。
    監査役・・・取締役及び会計参与の職務執行の監査をします。
    会計参与・・・取締役と共同して、計算書類などを作成します。)
  • 役員の任期
    原則として取締役は2年、監査役は4年ですが、非公開会社の場合は10年とすることも可能です。

 

 これらのポイントを考慮して、適切な資本金や役員構成を決定することが大切です。具体的な役員の選任や構成については、専門家である司法書士黒坂事務所までお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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