会社の設立について⑤定款を認証する

Kuroshoshi

今回は前回に引き続き、会社を設立するにあたり定款認証についてのお話です。必要な会社概要を決めたあと、会社の運営に関する基本的なルールである定款の作成を作成し、公証人による定款の認証を受けなければなりません。

会社設立の基本的な流れ

 会社を設立するには基本的に以下の手順が必要となります。

  • 会社概要の決定
    会社名(商号)、目的(事業内容)、本店所在地、資本金、役員構成など(株式、事業年度、公告方法など)を決定します。
  • 定款の作成
    会社のルールを定めた「定款(ていかん)」を作成します。
  • 定款の認証
    株式会社の場合、公証人による定款の認証が必要です。
  • 資本金の払い込み
    金融機関に資本金を払い込みます。これにより会社の運転資金が確保されます。
  • 登記申請・完了
    必要な書類を準備し、法務局に登記申請を行います。

3.定款の認証

公証人による定款を認証を受ける際の注意点

 設立に際して発起人が最初に作成する定款(「原始定款(げんしていかん)」といいます)は、公証人による認証を受けなければなりません(会30①)。
 なお、会社成立後(設立登記後)において定款変更する場合には、公証人の認証は不要ですが、会社成立前(設立登記前)であれば原則として再度公証人の認証が必要となります。

どこの公証人に認証をうけるの?

「会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局の所属公証人」が」扱うこととされています(公証人法62条の2)。

 例えば、神奈川県内に本店の所在地を置こうとしている場合は、神奈川県内の公証役場でしたらどこでも大丈夫です。東京都内に本店の所在地を置こうとしている場合は、東京都内の公証役場でしたらどこでも大丈夫です。

 公証役場は、日本公証人連合会のホームページで検索することができます。

定款認証に必要な書類や費用

 定款認証に必要な書類と費用(公証人の手数料)は以下のとおりです。

  • 定款
  • 発起人の印鑑証明書発行後3か月以内のもの)
  • 4万円分の収入印紙(定款が書面の場合のみ。電子定款の場合は不要)
  • 会社が発起人の場合は、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)及び代表者の印鑑証明書いずれも発行後3か月以内のもの)
    なお、会社の登記事項証明書(登記簿謄本)は、発起人となることがその会社の目的の範囲内であることを要します(目的の一部に同種の事業が掲げられていればよいと解されています)ので、公証人がその確認をするためのものとなります。
  • 法人の実質的支配者となるべき者の申告書
  • 代理人による定款認証の嘱託の場合には、委任状(発起人の実印)、代理人の「印鑑証明書又は運転免許証等の顔写真付公的証明書(公証人と代理人が面識がある場合を除く)」
  • 定款認証手数料として現金5万円(資本金により3万円~5万円)
  • 定款謄本交付手数料として現金2,000円程度(用紙1枚につき250円、おおむね8枚で2,000円くらい)

※⑤法人の実質的支配者となるべき者の申告書ってなんですか?

 定款認証を公証人に依頼する者(「嘱託人(しょくたくにん)といいます」は、設立される法人の実質的な支配をする者が暴力団やテロリスト等に該当するか否かを公証人に申告する必要があります。

 法人の実質的支配者を把握することにより、法人の透明性を高め、暴力団等による法人の不正利用(マネーロンダリング、テロ資金供与等)を抑止することが国内外から求められていることを踏まえての措置です。

 以上、定款認証についてご説明しました。
 定款認証は会社設立登記の専門家である司法書士の黒坂事務所にお任せください。何かわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。