司法書士の遺産承継業務について②遺産承継業務の流れ
今回は前回に引き続き、司法書士の業務の一つである遺産承継業務について、基本的な全体の流れをお話していきたいと思います。
司法書士が行う遺産承継業務の基本的な流れ
司法書士が行う遺産承継業務は基本的には以下のような流れで進んでいきます。
- (1)相談、受任、委任契約の締結
- お客様(依頼者)から相談を受け、相続人の確認(知っている範囲で)、遺言があるか否か、相続財産(預貯金や有価証券等)の確認、負債等はあるか等についてお伺いします。
その後、受任に至れば、お客様と委任契約を締結します。
- (2)相続人の調査・確定
- (1)でお伺いした相続人について、戸籍等を調べ相続人を調査し、確定します。
- (3)遺言の有無の確認
- お客様から聴き取りの際に遺言があるか否かの確認をしますが、お客様が遺言の有無を把握していないケースもあります。
公正証書遺言については、公証役場でその作成の有無を照会できます。司法書士が代理で手続きすることも可能です。
- (4)プラスの財産の調査
- お客様からの聴き取りの際、プラスの財産(不動産、預貯金、有価証券等)を確認しますが、お客様がすべてを把握しきれていないケースもあります。その場合は、金融機関等で調査します。
司法書士は、委任契約に基づき口座を確認し、残高証明書を取得します。
- (5)マイナスの財産の調査
- お客様からの聴き取りの際、被相続人にプラスの財産を上回る多額の負債等のマイナスの財産がある場合は、相続放棄をするか否かを検討します。
負債等があるかが把握できない場合は、司法書士が代理で信用情報機関への情報開示請求をすることができますが、開示された情報は、相続人のみが受領できます。
- (6)遺産分割協議
- 遺産分割協議については、司法書士は当事者の代理人となることはできません。
ただし、関係法令について説明したり、(あくまでですが)参考意見を述べたり、相続人全体の意見調整役として関与することはできます。その際は弁護士法に抵触しないように十分に注意しなければなりません。
- (7)金融機関等における払戻し等の手続き
- 司法書士は、委任契約に基づき、代理人として金融機関や証券会社に払戻し等の手続を行います。その際は金融機関の通帳やキャッシュカードが必要となりますので、お客様より事前にお預かりしておく必要があります。
- (8)不動産の相続登記
- 被相続人の財産に不動産がある場合は、不動産の名義変更のため、相続登記を行います。
- (9)遺産の分配、債務の弁済
- 遺産分割協議書で決定した内容に従って、各相続人に遺産を分配します。
また、被相続人に債務があれば弁済することになりますが、司法書士は、司法書士法第3条第2項の認定を受けた者が140万円以内の債務を弁済する場合を除き、代理人として弁済することはできません。
- (10)業務終了の報告
- 委任契約に基づく遺産承継業務が終了した後は、業務完了報告書により、業務の経過および結果を報告します。
以上、簡単にではありますが、司法書士が行うことのできる遺産承継業務の基本的な流れについてご説明しました。
何かわからないことがありましたら、川崎の司法書士黒坂事務所までお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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