③区分建物における敷地権とは?川崎の司法書士が解説します。

司法書士
黒坂浩司

 少し間が空いてしまいましたが、前回に引き続き、区分建物(マンションなど)における敷地権について主に解説していきます。敷地権の登記とはどのようなものなのでしょうか。

敷地権の登記とは何か?

 前回、マンションの登記方法として「全体(一棟)の建物」と「専有部分(居住部分)の建物」の2つの構造でできているということは何となくお分かりいただけたかと思います。

 その登記には「敷地権」という聞き慣れない言葉が出てきます(下記画像の赤丸で囲った部分です)。敷地権とはどのようなものなのでしょうか。

区分建物表題部の登記例

敷地権について

敷地権(しきちけん)とは?

 敷地権とは、「区分建物(マンション)の敷地利用権(登記されたものに限る)であって、区分建物と分離して処分できないもの(不登法44条1項9号)」のことをいいます。

敷地利用権(しきちりようけん)とは?

 敷地利用権とは「区分建物のうち専有部分(居住部分のこと)を所有するための敷地(土地)に関する権利(区分所有法2条6項)」のことをいいます。例えば、土地の「所有権」「地上権」「賃借権」などのことです。土地上に適法に建物を所有するためには、その敷地を利用できる権利が必要です。

区分建物と分離して処分できない」とは?

区分建物と分離して処分できない」とはどのようなことかというと、区分建物(マンションなど)は一軒家と異なり敷地利用権と別々に処分する必要性が低いことから、例えば「マンションの1室を売る場合は、敷地利用権の持分も一緒に売る必要がある」ということです。

 なかなか細かい話となりますが、敷地権は、敷地利用権の一種で、敷地利用権よりも狭い概念です。では、「敷地権ではない敷地利用権はあるのか?」ということですが、あります。「敷地権の登記のない区分建物の敷地利用権」ですが、後の記事で少し触れます。

敷地権の登記とは?

 さて、本題となる「敷地権の登記」ですが、敷地権は上記の画像のとおり、区分建物の登記記録と、敷地の登記記録の二つの部分に登記されます。

 上記画像の「一棟の建物の表示」の下に「敷地権の目的である土地の表示」欄があります。この欄は、敷地権の目的となる土地を物的に表示するものであり、所在及び地番、地目、地積を記録します。土地の符号は、敷地が数筆からなる場合に筆ごとに付ける番号です。

 上記画像下の「専有部分の建物の表示」の下には、「敷地権の表示」の欄があります。この欄は、敷地に関して専有部分の所有者が持つ権利を表示するものであり、「敷地権の種類」と「敷地権の割合」を記録します。

「敷地権の割合」は、専有部分に対応する共有持分を表しています。管理規約で特別な定めがなければ、建物専有部分の床面積の比率によります。

「原因及びその日付」の欄には、敷地権となった日付を記録します。この例の場合は、令和●●年3月9日です(下のカッコ内の3月17日は登記された日付を表しており、敷地権となった日付ではありません。)

敷地権の効果

 敷地権の登記がなされた区分建物は、建物専有部分について権利変動の登記をすれば、敷地権にも自動的にその効力が及びます。そのため区分建物の権利変動は、建物専有部分の登記だけに記録すればよく、敷地の登記の記録する必要はありません


 以上、敷地権の登記について簡単に説明しました。次回は引き続き敷地権のうち「区分建物の敷地の登記記録」についてと、表題登記と保存登記、規約共用部分などについて触れたいと思います。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
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