②区分建物における敷地権とは?川崎の司法書士が解説します。

司法書士
黒坂浩司

 前回に引き続き、区分建物(マンションなど)における敷地権について主に解説していきます。土地・建物の登記と異なり、区分建物の登記の構造はどのようになっているのでしょうか。

区分建物(マンションなど)の登記の構造はどうなっているの?

 前回少しお話したように、区分建物の登記の構造は、「全体(一棟)の建物」と「住戸部分の建物」の2つに分かれています。具体的には、「表題部」(「ひょうだいぶ」と読みます)という建物の構造などを表している部分に登記されます。

イメージ:区分建物の登記簿表題部

全体部分

 建物全体の表示が「一棟の建物の表示」です。一棟の建物は、各専有部分を全て含む建物全体のことなので、家屋番号も種類の表示もありません。

  • 所在
    通常の建物と同じく、敷地の地番を表しています。
  • 建物の名称
    「建物の名称」欄は、「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」の両方にあります。」「一棟の建物の表示」のほうは、マンションやビルの名称を表しています。
  • 構造、床面積、原因及びその日付、登記の日付
    通常の建物と同じです。
  • 敷地権の目的である土地の表示
    敷地権の目的となる土地を表しています。

個別専有部分

 いわゆる住戸である個別の部分を表示する「専有部分の建物の表示」には「所在」の欄はありません。これはすでに「一棟の建物の表示」に表示されているためです。

  • 家屋番号
    専有部分は独立した建物ということで、それぞれに家屋番号を枝番※を用いてつけます。
    ※枝番とは
     枝番とは、家屋番号は通常は、建物敷地の地番と同じ番号を用いますが、一筆の土地に複数の建物がある場合は、枝番を付けて区別します。
     例えば、地番が1番1の土地に建っている場合、家屋番号は「1番1」ですが1番1の土地に建物が二棟ある場合は、地番のあとに「の」を入れて「1番1の1」「1番1の2」とします。
  • 建物の名称
    「建物の名称」という項目名に合わないのですが、部屋の番号を表しています。通常、家屋番号の枝番は部屋番号と一致します。
  • 種類・構造等
    通常の建物と同じですが、専有部分は全体建物の中にありますので屋根の表示はありません。(屋根は全体建物にあります。)
    また、「1階建」と表示されますが、平屋建てと同じ意味で、建物が一つの階層だけということを表していおり、建物が1階にある、ということではありません。なお、二つの階層からなるメゾネットタイプの場合は「2階建」と表示されます。
  • 附属建物
    トランクルームが別にあるときは、附属建物とされます。
  • 敷地権の表示
    これについては、次回説明します。
  • 表題部所有者
    表題部末尾の所有者の欄には、表題登記をした事業主体(マンション分譲業者など)の名称が表示されます。
    通常、一般的に見る登記では、この欄が抹消(下線が引かれている)されています。マンション購入者が所有権保存登記をすると、抹消されるためです。

 以上、区分建物の登記の構造についてお話しました。通常の建物と異なり「全体(一棟)」と「専有部分(住戸部分)」の2つに分かれている、ということはお分かりいただけたかなと思います。

 次回は、「敷地に関する登記」についてもう少し詳しくお話していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎の司法書士 黒坂浩司
川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。