不動産決済(立会い)時のちょっとしたコツ(川崎の司法書士がちょこっと伝える)~抹消編①~
今日は、不動産決済時の抵当権抹消の際にちょっとしたコツがありますので、解説してみたいと思います。主に同業者向けかなと思います。
不動産決済(立会い)とは
まず、不動産決済(「立会い」ともいったりします。)とはどのようなものかについて簡単にご説明します。
不動産を売買する場合、売買契約書を締結しますよね。その売買契約書には「所有権移転時期の特約」が記載されているかと思われます。
この「所有権移転時期の特約」とは「買主が売主に対して売買代金を全額支払ったときに所有権が移転します。」という特約のことをいいます。民法上、契約は「売ります」「買います」といった意思の合致により成立します。売買契約も同様なのですが、その特約がある場合はその特約が優先されるため、売買契約を締結しただけでは所有権は完全には移転せず、売買契約を締結後、買主が実際に売主に対して売買代金を全て支払ったときに所有権が売主から買主に移転します。
売買契約を締結後、売買代金を実際に支払うときがありますので、その場に、売主、買主、不動産業者(仲介)、司法書士が一同に会します。そこで司法書士は、当事者の本人確認や意思確認、書類確認を行い、登記に必要なすべてものもがそろっていることを確認し、司法書士がOKの合図を出し、売買代金の支払が行われます。
その一連の流れのことを「不動産決済(立会い)」と呼んでいます。
抵当権抹消がある場合のちょっとしたコツ(司法書士向け)
ここからはホントに同業者向けではあるのですが、司法書士でない方は「ああ、こんなことを司法書士は見ているんだ(考えているんだ)」と思っていただければ幸いです。
抵当権抹消がある場合、買主から売主に売買代金が支払われたあと、売主は抵当権を抹消するために残債を抵当権者(金融機関)に対して支払います。その支払先についてのお話です。
抹消金融機関に対する支払はその口座で大丈夫??
住宅ローンなどの場合、口座引き落としが設定されており、抹消金融機関に対する支払先もその金融機関であると業者や売主が思い込み、その支払先口座を間違えてしまうことが度々あります。
そうならないために、一応、司法書士は、抹消金融機関の口座に対して正しく支払われているかを振込み伝票をチラッと確認したりしています。その振込伝票にもし異なる金融機関が書かれていたら、業者に対して念のためですが確認するようにしています。もし間違えて振り込んでしまったらその分時間をロスしてしまいますので、ちょっとしたことなのですが、その確認をすることで時間をロスしないで済む場合があるのです。
抹消金融機関に着金されるのはどのくらいかかる??
また、抹消金融機関が着金確認して決済が解散となる場合、着金確認がどのくらいかかるのかを事前に抹消金融機関に聞いておくとよいかと思います。
これは事前に確認したから決済がスムーズにいくというわけではないかもしれませんが、なかには支払手続きをしてから30分~1時間(金融機関や時期によってはそれ以上)くらいかかる場合もあります。
抹消金融機関の着金確認が終わるまで、決済の場が解散されない場合は、その場でその時間ずっと待機しなければならないため、事前に知っておき、立会いの当事者に伝えておくと気持ち的に当事者皆さんの心の準備ができるのかなと思います。
以上、不動産決済(立会い)のちょっとしたコツでした。同業者の方でもう知っているよという人は多いとは思いますが、私自身、決済を経験するうえで「もっとこうしたほうが良かったな~」と思うことがありましたので、このように記事にさせていただきました。
よりスムーズな手続きを目指していきたいものですね。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
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