相続放棄をした場合の相続登記申請に必要なものとは?費用ってどのくらいかかるの?川崎の司法書士が解説します。
相続放棄をした場合、相続登記の申請には何が必要となるでしょうか。また、司法書士に代理申請をお願いしたいと考えている場合、どのようなものを用意しておくとよりスムーズかについて書いてみたいと思います。
目 次
相続放棄とは?→「絶対的な効力」があります。
相続人は、自分に相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述することにより、相続を放棄することができ(民915・938)、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民939)。
これにより、放棄者は遡及的に(相続時にさかのぼって)相続人とならなかったものとなるので、他の共同相続人の相続分が変動することになります。なお、相続放棄は代襲原因ともなっていません(民887)ので、相続放棄者の子には相続権はありません。また、相続放棄者は遺産分割協議の当事者ともなりません。
相続人として二重の地位を持っている場合(例:兄弟間の相続で、弟が兄の養子になっている)、養子の立場で相続放棄した場合には弟の立場でも相続放棄の効力が及ぶこととなります(昭和32・1・10民甲61)。
親権者がその親権に服する子を代理して相続放棄する場合、同時もしくは先に相続放棄をしている場合は利益相反には該当しないと解されています(最判昭53・2・24判時881・103)。
このように、とにかく相続放棄の効力は絶対的だといわれています。
相続放棄の効力はそれほど強いので、相続放棄については慎重に考えたいですね。ただ、3か月という期間があることも事実ですので、相続が発生する前に、事前に考えておけるとなお良いかなとも思われます。
兄弟が相続放棄をしたので、自分が相続人となりました。相続登記はどうすればよいでしょうか。
今回は、兄弟が相続放棄をしたので、親の不動産を自分が相続することになり、相続登記を自分がしなければならないケースで解説していきたいと思います。その場合に相続登記に必要な書類は以下のものになります。
- 被相続人の出生から死亡までの「戸籍(除籍)謄本(改製原戸籍含む)」※
※出生まで遡れない場合は、「除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村の証明書」 - 被相続人の死亡時の住所及び登記上の住所が記載されている「被相続人の住民票の除票(本籍地入り)」又は「戸籍の除附票(本籍地入り)」※
※登記上の住所と一致しない場合
上記に加えて「固定資産税の納税通知書または評価証明書」、
登記上の所有者についての「不在籍・不在住証明書」。
ただし「登記識別情報または登記済証」を添付する場合はこの2つの証明書は不要とされています(登研152・49、747・56)。 - 被相続人の死亡日以降に取得された「相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)」
- 「相続放棄申述受理証明書」または「相続放棄受理通知書」
- 相続関係説明図もしくは法定相続情報一覧図
※これらを添付すれば戸籍に関するの原本還付処理が不要となります。
費用はかかりますが司法書士が代理で作成することも可能です。 - 不動産を取得する相続人の「住民票」
- 登記の委任状(認印で可)
- 最新年度の「固定資産評価証明書」
登記に必要な書類はわかりました。では実際に司法書士に代理申請してもらう場合はいくらかかりますか。見積書が欲しいです。
上記の書類がお客さまのほうで用意できれば、見積書はすぐに作成可能です。見積書には固定資産の評価額を基に計算した登録免許税(登記申請にかかる税金)を記載させていただいておりますので、上記8⃣「固定資産評価証明書」はご用意いただけると助かります。
費用の概算(大体の費用感として)
例えば上記の書類のうち、お客様側でそろえられる書類が全てそろっている場合で、出張による本人確認や郵送費もなく(事務所にご来所いただける場合)、不動産の評価額が1000万円の場合は、以下の費用となります(概算の費用となります)。
司法書士報酬 4万円 + 登録免許税 4万円 + 相続関係説明図作成 1万5000円 + 謄本取得土地建物の場合 2000円(1通1000円)+登記申請に必要な郵送費1,200円=9万8,200円※
※その他、郵送費や交通費の実費がかかる場合があります。
また、戸籍等は司法書士が相続登記をする前提で代理で取得させていただくことも可能です。その場合1通あたり2000円となりますが、戸籍は何通になるか事前にはわからないこともありますので、概算でお見積りを出させていただいておりますのでお申しつけいただければ幸いです。
以上、相続放棄がある場合の相続登記に必要なものと、費用の概算について書かせていただきました。
ご参考になれば幸いです。今後ともよろしくお願いたします。
投稿者プロフィール
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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。