公正証書遺言について②~遺言をする必要性が高い場合について司法書士が解説します~

黒坂浩司
公正証書遺言のお話の続きとして、「遺言が特に必要になるケース」を取り上げます。
遺言は、亡くなる方の最終意思を伝える大切なものですが、実際には「自分にはまだ早い」「家族仲は良いから大丈夫」と考えて書かない方も多いものです。
しかし、遺言がないことで思わぬ相続トラブルが起きる典型例があります。
目 次
遺言をする必要性が高い場合って?
■子供のいない夫婦こそ遺言が必要な理由
ケース:子どものいない夫婦と、疎遠な兄弟姉妹
例えば、夫A・妻Bの夫婦に子どもがいないケースを考えてみましょう。
夫Aには弟E、妻Bには姉Dがいますが、どちらも疎遠で、何十年も交流がない状態です。
老夫婦A・Bは長年支え合いながら生活してきました。
ところが、夫Aが遺言を残さずに亡くなると、法律上は次のように財産が分かれます。
妻B:4分の3を相続
夫の弟E:4分の1を相続(民法900条3号)
兄弟姉妹は「第3順位の相続人」ですが、子どもも親もいない場合には相続人となり、必ず4分の1を取得する仕組みになっています。
さらに、兄弟姉妹には一代限りの代襲相続が認められているため、弟Eが亡くなっていれば甥・姪が相続人として登場します。
遺言があるのとない場合の“決定的な違い”
● 遺言がある場合
夫Aが「全財産を妻に相続させる」と遺言していれば、妻Bが100%相続できます。
兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言があれば請求されることもありません(民法1042条)。
● 遺言がない場合
財産が1億円あるとすると、
妻B:7,500万円
弟E:2,500万円
となり、疎遠な兄弟姉妹(または甥姪)に2,500万円が渡ることになります。
夫婦で築いた財産であっても、遺言がなければこのように分かれてしまうのです。
■遺言がないと起きる“現実的な困りごと”
- 疎遠な兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければならない
- 自宅が共有状態になり、売却や担保設定に同意が必要
- 連絡が取れない甥・姪が相続人になると、手続きが長期化
- 配偶者の生活が不安定になる可能性がある
⇒つまりは、法律上の問題だけでなく、精神的負担や生活への影響が大きいのが特徴です。
■ まとめ:子どものいない夫婦は遺言が“必須レベル”
- 遺言がない → 兄弟姉妹(または甥姪)が4分の1取得
- 遺言がある → 妻が100%取得、遺留分請求もなし
子どものいない夫婦にとって、遺言は配偶者の生活を守る最も確実な手段です。
特に、公正証書遺言は安全性が高く、後々のトラブルを防ぐ効果が大きいと言えます
以上、遺言を書くべきケースについてお話しました。
特に公正証書遺言は自分の想いを相続人に伝える最終意思として確実な手段となりますので、ぜひ検討していただければと思います。
ご不明点やご相談などありましたら、お気軽にお問合せください。
投稿者プロフィール

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川崎で開業しております司法書士の黒坂浩司と申します。
得意分野は相続関連手続き、不動産登記、法人登記(会社設立等)です。
お客様の悩みに寄り添い、身近な法律・登記の専門家としてその解決に向けたお手伝いをさせていただきます。困ったことがありましたらどうぞお気軽にご相談ください。
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